フィリピの信徒への手紙2章3節
「神の前で自分を見つめる」
「何事も利己心や虚栄心からするのではなく、へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者と考えなさい。」(フィリピの信徒への手紙2章3節)
とても美しい戒めですが、ところで、私たちには一人ひとり違う長所や能力が与えられています。それなのに、本当に「相手を自分よりも優れた者と考え」ることができるでしょうか。謙遜どころか、かえって皮肉や自己卑下になりかねないと思います。実は、ここで命じられているへりくだりは、決して単なる道徳的美徳の戒めでも処世術でもありません。
「利己心」とは何でしょう。自分だけは人からも神からも許されていると思い込む心です。また、「虚栄心」とは、人からも神からも高く評価されていると思い込む心です。つまり、どちらも、人だけでなく神に対しても自分に全く絶望していない心です。ですから、ここで「へりくだりなさい」と言われているのは、神の前で自分自身に絶望しなさい、自分の罪深さに死になさい、ということに他なりません。そして、私たちはそのことに気付いた時に初めて、自分は優れてなどいないと心から認めることができるのです。
ところで、私たちは、自分を他人と比較ばかりして、一喜一憂してはいないでしょうか。そして、ストレスがたまり疲れてしまっています。それよりも、自分自身を神の前で正直に見つめることが大切なのです。その時、自分の罪深さに絶望して、本当の意味でへりくだることができるからです。聖書の御言葉は、そのようにして、神を信じ神と共に生きる信仰の道へと私たちを導こうとしているのです。
<祈り>
神様。私たちが神様の前で自分自身を正直に見つめることができますように。そして、自分の罪を認め、今の自分に絶望し、神の赦しを心から願い求める信仰へと導いてください。